木質バイオマス発電による再生可能なエネルギービジネス

 再生可能エネルギーの普及を目指して、2012年に経済産業省が開始した「FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)」。通常よりも高い価格で電力が買い取ることに加え、充実した融資制度も相まって太陽光発電が注目を集めてきました。その他、風力、水力、地熱などの発電方法がありますが、今回特に注目したいのは、独自技術で商業用に開発された木質バイオマス発電プラントです。海外製品に比べて、初期投資や運用コストを抑えつつ高効率な発電を実現しています。また、同時に生産できる「バイオ炭」も販売可能なため、利益率も高く、今後のエネルギービジネスとして期待されます。

会社紹介 株式会社 ネオナイト
代表取締役 寺山文久 氏
〒690-0026 島根県松江市富士見町1番地7
TEL 0852-38-8025 FAX 0852-37-2514
http://www.neonite.jp/


 天然鉱石ゼオライトを使用した汚水処理剤をもとに創業したベンチャー企業。1997年から製造開始した高性能処理剤「ネオナイト」は、東日本大震災の汚染された木材の除染等に使用されたことで注目を集める。その後も、復興プログラムの一つとして、除染された木材を使用するバイオマス発電の実証事業を行ったことをきっかけに、「木質バイオマスガス化熱電併給プラント」を商品化。


インタビュー

代表取締役 寺山文久 氏

株式会社 ネオナイト
Q1.処理剤事業から木質バイオマス発電事業を始められたきっかけは?
A.除染の技術が注目され、福島復興の実証事業を受託したことがきっかけでした

 そもそも、当社は島根県産の鉱石「ゼオライト」を使った汚水処理剤を製造するベンチャー企業として創業しました。創業当初は、天然鉱石を使った汚水処理剤や処理機のレンタル、電力会社や行政から委託される環境分析事業などを手がけていました。
 当社の処理剤が注目されたのは、東日本大震災の時です。多くの方が苦しんでいる状況を知り、私たちにできることはないか模索する中で、福島県内の小学校プールの除染活動を始めました。そうした活動を続けるうちに行政からお声がけがあり、除染技術を活用して福島県復興のための実証事業を受託することになったのです。
 その事業は、木材から放射性物質を分離させてエネルギーに変換するもので、現在の当社の主力製品である「木質バイオマスガス化熱電併給システム」の原型となりました。実証事業では、様々な機関と連携しながらプラント開発を進め、この過程で放射性物質の除染に関する複数の特許も申請しました。試行錯誤を重ねた結果、自社製品プラントの1号機が2023年に完成しました。


Q2.製品の強みはどこでしょうか?
A.初期費用の安さと、日本に適したプラントであるという点です。

 当社のプラントは、初期費用、メンテナンス等のランニングコストが安価に済みますし、日本の木材との相性も良い事、更に副産物として「バイオ炭」も製造できるという点で、他社の既存の製品より優位性があると考えています。
 国内で現在、木質バイオマス発電を導入している企業の多くは、海外製プラントを使用しています。海外では日本の何年も前から電力の固定価格買取制度が導入されており、プラント開発の実績があったためですが、海外製品は初期費用が高く、納品まで1年待ちになるなどの問題が指摘されています。最も大きな問題は、メンテナンスのノウハウがブラックボックス化されていることです。故障が起きた場合すべてメーカーに問い合わせる必要があり、レスポンスの遅さに不満の声も多く聞かれます。また、海外製品の多くは材料に「広葉樹」を使用する前提であり、日本の杉やヒノキといった針葉樹との相性も良くありません。
 そこで当社は、日本国内でもビジネスが成立する、ガス化(炭化)バイオマス発電システムを独自に開発しました。耐久性を向上させることで、燃焼しきらない大きな木質チップを活用した「バイオ炭」も製造することで、導入企業の利益向上に貢献しています。この「バイオ炭」は、農場の肥料、製鉄用炭素、吸湿・消臭機能を持つ建材などに利用でき、あるプラントでは年間1300万円ほどの売上実績もあります。さらに、当社のプラントは屋外設置型であるため、プラント設置用の建屋が不要で、初期費用も他社製品のわずか2〜5割程度に抑えることが出来ます。

株式会社 ネオナイト


株式会社 ネオナイト
Q3.今後の展望を教えていただけますか?
A.製品の認知度を向上させ、バイオマス発電市場を獲得していきます

 海外のプラントメーカーの中には倒産している企業も出てきています。そうなると、ブラックボックス化されている部分が多いため、メンテナンスが滞り事業に影響が出てくる可能性があります。大きな問題になり得ると考えており、今後は国内製品が選ばれるようになると予想しています。現在、国内でも実証事業としてはいくつか事例を聞いていますが、国内で商用プラントの製造に成功しているのは当社以外にはないはずです。
 そうなると必然的に当社が選ばれる可能性が高いのですが、認知度が低いと選択肢に入りません。SNSを活用した情報発信や、西日本におけるプラント建設を通じて、実機見学の機会を設ける必要があると考えています。資金調達が目下の最優先課題ですし、ビジネスとして利益を生み出す実績を積み上げていく必要もあります。
 また、近年は自然災害が頻繁に発生しており、自治体が発電プラントを保有する事例も増えると考えられます。当社製品の認知度を高めておかなければ、選択肢に入ることができませんから認知度向上を当面の目標としています。


製品情報

「木質バイオマスガス化熱電源併給システム」

 排熱として外部に逃げるエネルギーロスが少なく、より効率的に電気エネルギーを取り出せる、独自の木質バイオマスガス化方式を採用しています。発電過程で生じる排熱は、地域の温泉、プール、ハウス栽培施設の暖房に利用でき、炭化した木質チップは炭として販売することも可能です。間伐材や建築廃材の再利用も視野に入れた、画期的な発電システムです。


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