安全性の高い木・竹製の脱プラスチック製品で
脱炭素社会に貢献する

 ストローやスプーンなど「使い捨て」にされるカトラリー製品の多くで、従来はプラスチック製品が使用されていたが、海洋汚染、マイクロプラスチック問題などを背景とし、その使用削減が社会課題となっている。株式会社ひろせプロダクトはプラスチック製品に替わる木・竹製品でシェアを伸ばし続け、日本の脱プラスチックを牽引している。
会社紹介 株式会社ひろせプロダクト
代表取締役 鉄本学 氏
〒692-0412
島根県安来市広瀬町下山佐356-3
TEL:0854-32-2648
https://hirose-products.jp/

 大阪で木製品の製造業に携わっていた先代が、島根に移住して1999年に創業。プラスチック製品が全盛期だった創業期から木製品にこだわり、グリーン製品の製造と流通のノウハウを蓄積する。2003年に現代表が入社してからは、中国における竹製品の製造拠点を開拓。安定供給と競争力のある価格を実現、現在の同社の供給基盤を築く。

インタビュー

代表取締役 鉄本学 氏

株式会社ひろせプロダクト
Q1.グリーンビジネスを始めたきっかけは?
A.原材料の安定供給と環境意識の高まりへの対応

 当社は創業からずっと木製品を扱っており、グリーンビジネスを手掛けてきました。先代は大阪の同業他社で30年以上修行した後、島根県に移住。創業と同時に中国の合弁会社とOEM契約、木串、木製アイススティック、木製アイススプーンの3種類の製造を開始しました。木製品は中国の白樺を使っていたのですが、しばらくすると伐採規制が始まり、ロシア産の白樺へと移行しました。原材料が高騰、供給も不安定になるなど、問題が多く起こり始めたため、竹製品の扱いを始めました。先代は「これからは安定供給が可能な竹が材料の主力になる」ことを予想していましたが、実際に現在では竹製品の売上が6割ほどを占めています。
 私は2003年に入社したのですが、ちょうど竹製品を作り始める転換点でした。私の初めての仕事は中国における竹製品のOEM先の開拓でした。新卒で入社したのですが、就活中に父親である先代から「このビジネスが拡がっていく道筋が見えたから、うちで働かないか」と誘いがあり、「会社の力になれるのであれば」と入社を決めました。


Q2.苦労したことなど
A.安全性と低価格を実現しうる製造・供給システムの構築

 現在の主力製品である竹串や木串、アイススプーンなど、全て「食」に関わることから、安全性確保は必須です。その上で供給量の安定化、コスト抑制を実現しないといけません。安全性を確保するには、チェックを行う人数を増やさないといけませんからコストが高くなってしまいます。
 そこで当社は、独自に開発をしたチェック精度の高い検査装置を開発しました。カメラでささくれのチェックをしているのですが、目視より精度が高く、安全性に加えて人件費削減に成功しています。既製品のカメラを使用したところ、「自社開発した方が運用コストが安くなる」ことがわかったので、現在では全て自社開発品を用いています。実際の運用まで2年くらいかかってしまいましたが。
 それでも100%のささくれを除去するのは難しいです。見た目はささくれていないけれど、ソーセージを刺すとささくれる串もあります。そこで、ささくれが起こりにくくさせるために、製造機械をこまめにメンテナンスし、最終的に島根県内の自社工場で検査をしてから出荷しています。
 安全・コストがお客さんにも評価されて、国内シェアはかなり高いところまで伸びています。当社調べではございますが、ブランドに関わらずコンビニにあるアメリカンドッグの串の9割は当社製です。

株式会社ひろせプロダクト


株式会社ひろせプロダクト
Q3.今後の展望を教えていただけますか?
A.アジアでのシェア拡大を目指し、上流工程を内製化する

 売上は有難いことに右肩上がりで、社員も途中退社する人が少なく、運営体制としては好調です。しかし、10年後、20年後を考えると、大きな課題があると自覚しています。当社のウイークポイントでもある「製造機能の中国依存」です。中国と本邦の関係も、今後はどうなるかわかりません。
 現在はタイにおける製造工場を探しています。これから開拓していくOEM先は、ゆくゆくM&Aも考えていますし、原料となる竹の生産地のリサーチも進めています。結局、工場はどこかで代替できるかもしれないのですが、原料の仕入れができなくなるとどうにもなりません。そういった問題が起こることも想定して、上流工程を当社で抑えていこうと考えています。アジア市場でのシェアの拡大を考えているからです。タイでは日本と同じくらいのシェアを獲得できましたし、一昨年からはベトナムでも販売を始めています。
 本当は大消費地のアメリカやヨーロッパもしかけたいのですが、これらは訴訟問題がネックとしてあるので、防御策を講じた上で展開しないといけません。まだまだ先ですね。上流工程の展開先として、日本への「国内回帰」も考えてはいますが、原料である竹粉末の活用策などは、開発コストを抑えるために、まずはタイで試したいと考えています。そこで成功したものを日本に逆輸入するということを考えています。


製品情報

「脱プラスチックに貢献する、竹·木製品」

 竹ストロー、竹歯ブラシ、竹·木カトラリー等を開発し、脱プラスチックに貢献する製品を取り揃えています。竹ストローについては、紙ストローの問題点である耐水性を克服しており、長時間使用してもふやけることなく使用が可能です。竹歯ブラシは、持ち手部分に竹を使用し、ブラシ部分には“バイオPA1010”を使用し、プラスチックを不使用の製品です。
 竹製製品では、竹製アイススティックを一般流通の冷菓として国内で初めて大手アイスメーカーに採用されております。竹製アイススティックの製造には、弊社独自開発のカメラ選別装置が使用されており、高品質化を達成しています。


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