脱炭素型資源循環システムでカーボンニュートラル社会の実現へ

 キーワードは資源循環。太陽光パネルやプラスチック資源の再利用のほか、不用品の再利用も行い、資源循環を実現する社会システムの構築を目指しているアースサポート株式会社。環境ビジネスを成立させるポイントを、代表の尾﨑氏にうかがった。
会社紹介 アースサポート株式会社
〒690-0025. 島根県松江市八幡町882−2
TEL:0852-37-2890
FAX:0852-37-2892
https://www.earth-support.jp/

 父でもある先代社長が、ビルの総合メンテナンス会社として創業、1984年に清掃会社をm&a。更に、廃棄物事業をスタートさせ、山陰両県では5割を超えるシェアを獲得するまで成長。今回、太陽光パネルなどのリサイクル事業も開始することで、脱炭素型資源循環社会の実現を目指す。

インタビュー

代表取締役社長 尾﨑 俊也 氏
業務・施設部長 佐藤 将吾 氏

アースサポート株式会社
Q1.グリーンビジネスを始めたきっかけ
A.法整備への期待と地域の脱炭素エネルギーの流れ

 太陽光発電に使用する太陽光パネルは、災害による損壊や、寿命による2030年代後半以降の大量廃棄が懸念されています。そうした背景から、太陽光発電パネルのリサイクル事業への参入については以前より当社にて検討を重ねておりましたが、公共施設で使用する電力を再生可能エネルギーで賄うため、松江市役所や地元銀行が協力して太陽光パネルの大量設置を進めるという流れを受け、不要となった太陽光パネルをリサイクルする受け皿がいよいよ必要になると考えました。且つ、県内では現在その受け皿となる業者がいないという現状も相まって、この度本格的にリサイクル施設導入に向け舵を切りました。
 現行法では、廃棄された太陽光パネルについてリサイクル義務はありませんが、ガイドラインが制定されるなど、埋立処分ではなく、リユース・リサイクル推進の動きが出ています。実際にリサイクルの法整備が進めば、リサイクルやリユースせざるを得なくなります。先行して事業を行うメリットは大きいと考えております。


Q2.苦労したことなど
A.地域社会からの信頼の獲得

 コロナ禍以降は廃棄物処理に関わる仕事は「エッセンシャルワーカー」として認知していただきとても嬉しく思っていますが、以前は廃棄物処理業者のイメージはあまり良くなかったと感じます。そこで、イメージを払拭し、ステークスホルダーの信頼を得るために、積極的な情報公開や地域貢献活動を行ってきました。地元自治会様と環境協定を締結し、定期的に施設見学を行ってもらっていますし、当社の環境活動をまとめたパンフレットを各戸に配布しています。地元小学校への出前授業の実施等、長年にわたる地道な積み重ねを通じて地域の皆様とコミュニケーションを図ることで、我々の事業に対するご理解が進んだと感じています。また、2014年には地元プロバスケットボールチーム「スサノオマジック」の社長をお引き受けし、地域活性化の一端を担うことが出来たと感じています。
 新しい事業やビジネスを始めるうえで設備導入は必要ですから、その際に環境への配慮を行った地域社会にとって必要な施設であることを十分に説明し、地域の方にご理解いただくようにしています。信頼関係の構築は新しい事業を始めるうえで最も重要な要素だと捉えています。

アースサポート株式会社


アースサポート株式会社
Q3.今後の展望を教えていただけますか?
A.連携によってグリーン市場を広げる

 我々の市場は将来的に減少していくことが見込まれています。日本の人口は減っていきますから、それに比例して廃棄物の総量も減っていくという理屈です。今後市場規模が縮小していく中で必要になるのは、M&Aを含む他社との事業連携だと考えております。現在、当社ではプラスチックマテリアルのリサイクル事業も行っており、こちらは親会社であるアカルタスホールディングスグループ各社の事業を連携させることにより、リサイクルスキームを展開しています。当社にて回収したプラスチックを、グループ会社でプラスチックのリサイクル材料に加工し、国内外に販売します。グループにおけるプラスチックのリサイクル材料の売上は現状で約7億円に上ります。今後も連携先を増やして、グリーンビジネスの市場シェアを増やしていくことが必要だと感じています。


製品情報

太陽光パネルリサイクル

 ここ10年程度で、太陽光パネルの設置が各地で進んでいるが、災害等により発電出来なくなったパネルの廃棄処理が問題視されている。当社にて太陽光パネルのリサイクル施設を構築し、使用済の太陽光パネルの処理を行うことで、環境負荷がかからない形でリサイクルを行うことが可能となる。

プラスチックマテリアルリサイクル

 多くのプラスチック製品が日常的に使用されている中で、廃棄時にリサイクル出来ないものは焼却、埋立処分といった形が多くを占めている。また、使用用途が多いPP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)樹脂などの硬質プラスチックは、リサイクルの期待も大きい。当社でプラスチックの破砕・洗浄が可能な施設を導入し、各所よりPP、PE製品を受入れて処理を行い、その後グループ企業内で再生原料化を進めることが可能なため、より実効性の高いマテリアルリサイクルへと繋がる。


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